フィリピンを学ぶ‐経済‐【フィリピン留学】
フィリピンは今、高度経済成長期を迎えています。その一方で、政治との関係で抱えている問題も数多くあります。そこで今回は、フィリピンの経済についてご紹介します。
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経済成長を続けるフィリピン
フィリピンはASEAN(東南アジア諸国連合)の中でもトップクラスの経済成長を誇ります。シンガポール、タイ、マレーシアなどともにASEAN諸国の高度経済成長の波に乗っているのです。かつての貧しい国というイメージは払拭されています。その一方で、貧困層に対する政治の積極的な介入が遅れ、富が一部に集中している側面があり、依然として貧しい暮らしをしている国民も多いことが問題となっています。
中国系フィリピン人チノイ
フィリピンでは、古くから中国との交流が盛んだったため、中国系の人たちの活躍が目立ちます。フィリピンをピノイ、中国系をチノイと呼び、それぞれの個性を際立たせています。経済の世界で中国系フィリピン人の活躍に注目が集まるようになったのは、1984年スペイン系財閥が退き、中国系財閥が国民的ビール企業の実権を握ったことが契機になっています。
また、国民的英雄であるフィリピン独立の租ホセ・リサールは中国系商人の末裔です。さらに、マルコス大統領、アキノ大統領なども中国系の血を引いています。このように、中国系フィリピン人チノイはアイデンティティを強く持ち、フィリピンの社会で活躍しているのです。
活躍する人々
世界でも注目されるフィリピンのトップ経営者の多くは、中国系フィリピン人です。その中でも、SMデパートの経営者、フィリピン航空などの経営者など、フィリピンで活躍する中国系の実業家の実力は折り紙つきです。このような中国系の人々の活躍はフィリピンだけでなく、シンガポールやマレーシアなどASEAN諸国の特徴的なスタイルとなっています。実力者として経済のキーとなっているのが中国系の経営者なのです。
財政を海外から支える労働者たち
上述した中国系のチノイと対照的に、フィリピン人のピノイは海外に出稼ぎに行く人が多いことで知られています。国外からの送金はフィリピンで暮らす家族だけでなく、経済を支える収入源となっているのです。実際に、それらはフィリピン財政の1割を支えています。海外で働くフィリピン人の数は、中東で100万人以上、世界では800万人以上にも上ります。
まとめ
フィリピンは、このように経済の急成長と、富の集中による経済格差が生まれ、様々な問題が混在しています。また、新たな問題となっているのが頭脳の海外流出です。国内に活躍の場が少ないため、優秀な人材はアメリカなど欧米諸国に活躍の場を求めてフィリピンを出て行ってしまうのです。格差の是正、活躍の場の拡大など、皆が豊かな暮らしを送れるように、フィリピンは政治、経済の両面から新たな試みを始めています。